江戸浩樹 / アディッシュ株式会社 代表取締役
2004年に株式会社ガイアックス入社後、インターネットモニタリング事業、学校非公式サイト対策事業、ソーシャルアプリサポート事業の立ち上げを経て、2014年にアディッシュ株式会社を設立、代表取締役に就任。東京大学農学部生命化学・工学専修卒。
アディッシュは2014年10月に起ち上げているんですけど、いわゆるスタートアップやベンチャーのカテゴリーの会社だと思います。毎年成長し続けて、現時点でグループ全体で約700名弱のメンバーがいるので、変化のスピードは早い会社だと思います。
メンバーについて言うと「まじめな人が多い」と感じます。外部の方からもそう言われることが多いです。僕としては、自分たちの新しい未来・次なるありたい姿を描いて、そこへ向かって進めていくというひたむきさがやっぱり大事だと思っています。パーソナリティは本当にそれぞれ違います。ゼロから作るのが得意な人と、イチから伸ばすのが得意な人、10から伸ばすのが得意な人がいていいんじゃないでしょうか。どのタイプの人も大事だと思います。
まじめだけど多彩なパーソナリティの人材が集まっているのかなと思います。
そうですね。 アディッシュでは、一人ひとりが職務における日々の専門業務を指す職能タスクと、未来のありたい姿を実現するために発案・設計・実行する事業タスクを作って、自分の職能としてしっかりと果たすものは果たすという風土があります。一方で未来のありたい姿を描くことを大事にしていて、それが人事制度に組み込まれているので、各自が自分の現在地と少し先の目標をしっかり見据えて仕事に取り組んでいます。
例えば、何か企画を進めるときにプロジェクトシート作っているとか、チームOKR、スクラムやカンバンを使って見える化するなど、エンジニアだけでなく各事業部でも取り組んでいるので、そういう点が物事に取り組んでいくという部分を結構強くしていると感じますね。
事業の内容としても、僕としてはミッション・ビジョンを大事にしているし、そこの想いから外れた事業をする気にならないし、していない。そういった部分は一貫性を保っていますね。
よかったなと思っているのは、少なくとも設立時にこれをやるぞ、と言ったことは、ほぼ達成してきたことです。会社が成長していく手段として目標にしていたマザーズに上場したことも、その中のひとつです。
トラブルは数々ありますし、社会状況によりタイミングがずれたりすることもありますが、基本的には乗り越えて、継続的に成長させることができているというのは、自分でも評価しています。
もうひとつは、自分自身が一貫していることですね。こういうミッションとビジョンでやっていくんだと決めて、それを変えたことは一度もないし、新たなサービスを作っていくときも、変えようとは思わなかったですね。これがたぶん一番大事なんじゃないかなと思います。
ありすぎてちょっと出てこないんですけど(笑)、”これ、最初からやっておけばよかったな”、みたいなことはたくさんありますね。
例えば、当然テクノロジーの波が来るのは分かっていたわけで、そこに対して手は打っているんですけど、もっと早くできるようにしたい。利用者のニーズや動向の変化を先取るくらいのスピードアップですね。
また、成長率ももっと高くできるのではないかと思っています。その意味では、本当にやりたいこと、やるべきことがたくさんあるという感じです。
継続的に、きちんとプラスアルファの提案ができるようになるために、情報収集して議論できる体制づくりをもっと早くするべきだったかなと思ったので、そこは進めています。アディッシュは本当に自分達で会社を作っている感じがするので、僕だけでなくてそれぞれのメンバーが出してくるアイディアを吟味して、もう一段先々でやっておくべきことを議論する体制を構築しています。
基本は「ネットを通じた社会がよりよくなるために」というのがありますが、一歩踏み込んで言うと、「インターネットの様々なサービスが、それを使っている人にとって居場所になるとか、居心地のいい場所になっている」ということだと思います。この居場所を作るために具体的には、ネット全般で阻害される人がいなくなるようなサービスや、ユーザーとのコミュニケーションやリレーションを強化するようなサービスをもっともっと展開していきたい。
私たちは、ソーシャルメディア、シェアリングエコノミー、スマホアプリ・ウェブアプリといった領域に強みを持っていますが、こういったサイトやアプリの特徴は、ユーザーの活動自体がそのサイトやアプリを形づくる、という点です。そのため、ユーザーにとって、居場所であったり居心地のよい場であればあるほど価値が高まる。そういう分野が私たちは得意ですし、FintechやMaaSなどの領域でも、同じような方向で新しいサービスが生まれてきているなと感じています。
今後は、私たちの得意分野に多くいる急成長しているスタートアップに伴走し、カスタマーサクセスの分野で支援できるトップパートナーになることを目指していきます。スタートアップが生み出したサービスやテクノロジーの価値を最大限にしてユーザーにつなげていくこと。すなわち、私たちのミッション・ビジョンと同じことなんですよね。
この像を目指すことで、一層、ミッションやビジョンに向かうことになると思っています。
カスタマーサクセスを実現するにあたり、私たちの行動指針である「スタンダード」を新たに定めました。
「発見」「理想」「行動」です。
「発見」は、インサイトです。お客様の声を傾聴して、その背景や関連する状況を洞察し、言葉に出た課題だけでなく、お客様自身気づいていない課題を「発見」することです。
「理想」とは、理想を実現するにも、現実にはさまざまなしがらみや矛盾がありますよね。そういった現状を受け入れつつも、理想的に考えると「どうしたらいいんだろう」という問いを常に考えていくことです。
最後の「行動」は、お客様の課題を自ら発見しにいったり、また理想を描いても実際に行動しなければ何も解決しませんよね。そのために私たちは実践者であり続ける人、というのを定めています。
具体的に日々の行動に置きかえると、「発見」は『人』との関わり方に関係していきます。
社内外で何かのプロジェクトを組むときに、相手の状況や背景を想像して、相手が気づけていないようなところに気づきを与えられるとか、背景を想像できるとか、そういう「発見」はすごく大事だなと思います。それぞれのバックグラウンド・それぞれのプロフェッショナルスキルがあって、他の人は自分にない視点で話してるというところを想像できている、そういうチームの方がうまくいくと思います。
未来のありたい姿、「理想」を描いて、それに向かうアクションプランを考え、しっかり取り組んでいく「行動」の姿勢を、僕自身大事にしています。それはチームレベルでもそうだし、事業、部署、会社というレベルでもそうだし、あるいは個人というレベルでもすごく大事だと思ってます。それぞれプロフェッショナルとして職能的な部分をきちんと伸ばしつつ、ありたい姿を描いて、それに向かって成長していくことができる、それがアディッシュとしては、というより僕はすごく大事な人材像のひとつだなと思っています。
そして、何より重要なのはミッションやビジョン。なぜこの会社・事業をつくったのか、根本的な考えのところはしっかり理解してほしいし、大事にしてほしいなと思います。
自身で課題設定して、自身で解決してきた経験を持っているかでしょうね。自分で課題設定したかどうかは、かなり大事な点だと思います。それは仕事、学生時代、プライベートにこだわらずですね。もちろん仕事はチームでするものだと思いますので、チームに対する課題設定を自ら行って、何かの目標を達成した経験は特に素晴らしいなと思います。
運が良かった(笑)。
それはあるのですが、ひとつには、自分たちの得意なジャンルで、自分たちの次のありたい姿に向かって課題設定して、たくさん失敗しながらも諦めず進めてこれたからではないかと思います。
もうひとつ、トラブルがあったら正直に、まずメンバーから報告してくれるんですよね。それはオープンな雰囲気という社風もありますが、隠したって仕方ないし、あまり隠す人もいなくて。いつも、起きていることは素直に起こっていますと報告があがってくる、そんな感じです。僕としては、そういう関係性は大事だと思っているし、素直に話してもらえた方がいいし、それで非難するというよりは、課題を明確にして、皆で向き合っていって、解決できたらいいなと常に思っています。
そうですね、そういう事を大事にしていきたいですね。多少仕事とは関係のない、人間的な面というか、人となりというか、そういうことを知ることも僕は大事にしたいなと思います。なるべくメンバーみんなと話す、その機会は少なくとも一度は持つということは、これからもやっていきたいなと思います。
僕は10年とか20年単位の目標を作っていて、それを年表に落として、毎年毎月毎週振り返ってるんですけど、それが今は10年分以上あるんですね。そういうのを振り返ると、自分の考え方というか、軸は正直そんなに変わっていないかなと思います。その中で、こういう点が自分はできてないからできるように習慣化しよう、みたいなことを達成していくのは、結構得意だと思います。そこが自分の成長ポイントと言えばそうかなと、感じています。
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